赤い玉

楠山正雄

赤い玉書籍情報

底本:「日本の諸国物語」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年4月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:佳代子

赤い玉 3

楠山正雄

 こういわれて、天日矛命(あまのひぼこのみこと)は、困(こま)って帰(かえ)って行くかと思(おも)いのほか、
「では海(うみ)を拝借(はいしゃく)いたします。」
 といって、腰(こし)につるした剣(つるぎ)を抜(ぬ)いて、海(うみ)の水(みず)をかき回(まわ)しますと、みるみるそこへりっぱな御殿(ごてん)が出来上(できあ)がりました。大国主命(おおくにぬしのみこと)はそれをごらんになると、
「これはなかなかえらい神(かみ)だ。用心(ようじん)をしなければならない。」
 と思(おも)って、家来(けらい)にいいつけて摂津国(せっつのくに)を固(かた)くお守(まも)らせになりました。