赤い玉

楠山正雄

赤い玉書籍情報

底本:「日本の諸国物語」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年4月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:佳代子

赤い玉 4

楠山正雄

     二

 さてこの天日矛命(あまのひぼこのみこと)というのは、もと新羅(しらぎ)の国(くに)の王子(おうじ)でした。それがどうして日本(にっぽん)へ渡(わた)って来(き)て、こちらに住(す)むようになったか、それにはこういうお話(はなし)があります。
 新羅(しらぎ)の国(くに)の阿具沼(あぐぬま)という沼(ぬま)のそばで、ある日一人(ひとり)の女が昼寝(ひるね)をしておりました。するとふしぎにも日の光(ひかり)が虹(にじ)のようになって、寝(ね)ている女の体(からだ)にさし込(こ)みました。