赤い玉

楠山正雄

赤い玉書籍情報

底本:「日本の諸国物語」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年4月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:佳代子

赤い玉 7

楠山正雄

「いいえ、わたくしはこの牛(うし)に、百姓(ひゃくしょう)たちの食(た)べ物(もの)を積(つ)んで引(ひ)いて行くだけで、けっして殺(ころ)して食(た)べるのではありません。」
 といいました。けれども王子(おうじ)はうそだといって、なかなか聴(き)いてくれませんので、百姓(ひゃくしょう)はしかたなしに、もらった赤(あか)い玉(たま)を出(だ)して、王子(おうじ)にやって、やっと放(はな)してもらいました。